つれづれ映画日記・読書日記

日々の映画鑑賞や読書の感想を綴っています

Ribbon

自粛生活の重圧もリボンで巻いて


のんさんが監督、脚本、主演を務めた話題作です。


世界中がコロナ禍に突入した2020年。

学校は休講となり外出も自粛が求められています。
美大生のいつか(のん)は、大学の卒業制作展が中止となり、やむなく1年かけて制作した作品を持ち帰ります。
しかし、家では様々な感情がうずまき、何も手につきません。
心配する両親とは衝突するし、親友の平井(山下リオ)もいらだちを募らせている様子。

そんな頃いつかは、絵を描くことに夢中になるきっかけをくれた田中(渡辺大知)と再会します。

 

ほんの5年ほど前のことですが、2020年は実際不安に押しつぶされそうになる年でした。
毎日が自粛生活みたいな私のような年のものにとって、生活が特別大きく変わったわけではありませんが、学生などにとっては、このように通常とは一変する生活だったわけですね。

いつかは描きかけの絵をなんとか家に持ち帰ることができたのですが、大きくて搬出不可能だった人も多いのです。
平井も、そのうちの1人。

いや、そもそも卒業制作展自体が中止となったのだから、今さら仕上げても意味がない。
だから、いつかは、持ち帰った絵も仕上げようという気が起こらない。

今までの努力がすべて無駄になり、今後の見通しも立たず、人との会話すらソーシャルディスタンスとやらでまともにできない。

こんな中で、どうやっていつかや平井が自分らしさを取り戻して前へ向かっていくのか。

若い人はこんな経験すらもバネにして、リボンでくるりと巻いてかざって見せるのだな。
そんな活力を頼もしく、美しく感じました。

 

ともあれ、このような閉塞感でいっぱいの日々がかつてあったという一つの証言に、本作はなるでしょう。

先日見た「サンセット・サンライズ」とか、この度公開されている「フロントライン」とか、昨今ようやくコロナ禍のことを落ち着いて振り返る事ができるようになった、ということなのでしょうね。

今さらではありますが、このような八方塞がりの日々を、よくぞ皆さん生き抜きましたよね。
自分を褒めて、そして皆さんで褒めあった方がいいのでは・・・?

 

Netflixにて>

Ribbon

2021年/日本/115分

監督・脚本・企画:のん

出演:のん、山下リオ渡辺大知、小野花梨春木みさよ、菅原大吉


コロナ禍の重圧度★★★★☆

閉塞感★★★☆☆

満足度★★★★☆